点検で見つかった劣化症状

今回のお住まいの屋根は「平板瓦仕上げ（F型瓦）」です。平板瓦は一般的な和瓦と異なり、表面がフラットでスタイリッシュな外観が特徴です。

洋風・和風どちらの建物にも調和しやすく、デザイン性の高さから多くの住宅で採用されています。また、凹凸が少ない分、雨水が流れやすく耐久性にも優れています。

しかし、瓦自体は強くても棟や取り合い部に施工されている漆喰や下地材は、経年で劣化が進むもの。今回の点検でも、棟部を支える漆喰に変色やひび割れが広範囲に確認されました。

漆喰は棟の土台を守ると同時に雨水を防ぐ重要な素材であり、ここが傷むと雨漏りや木部の腐食につながります。

さらに軒天には広い範囲にシミが発生していました。これは小屋裏の通気不足により湿気がこもった結果です。

加えて、屋根と外壁の取り合い部にある雨押え板金の下には、鳥の巣の痕跡も確認されました！
微笑ましい…とも思えますが、実際は巣の素材で屋根が汚れたり、糞害やダニの発生など鳥の巣によるリスクは高く、撤去が必要です。

こうしたさまざまな問題を解決するため、こちらの住まいに適したメンテナンス計画を立てました！

まずは解体と土台の確認から！

まずは足場を組み、安全を確保して棟瓦の解体に入りました。

三角冠瓦を外して中を見てみると、漆喰は大きく変色し、複数のひび割れが進行している状態…！

さらに、瓦を支える木製の垂木は雨水で腐食し、強度を失っていました。放置すれば瓦の固定力が落ち、風で瓦が飛散する恐れもあります。

劣化した木製垂木はすべて撤去し、腐食しにくい樹脂製の垂木を新設しました。

樹脂製は水分を吸収しないため、雨漏りリスクを軽減します。さらに瓦の固定力にも優れているため、台風や地震など外的要因に対しても耐久性が期待できます。

垂木の周囲には南蛮漆喰を塗布します。南蛮漆喰とは、通常の漆喰にシリコンや防水剤を加えたもので、防水性と耐久性に優れています。

仕上げには、取り外していた三角冠瓦をステンレスビスで固定し、棟部分の復旧工事は完了です！

袖瓦取り直し工事

ケラバ部分は特に風雨の影響を受けやすい場所です。

まず既存の袖瓦を取り外し、下地に水切り板金を新設しました。これにより雨水が侵入しにくく、下地の劣化を防ぐ効果が期待できます。

その後、袖瓦をパッキン付きステンレスビスで一枚ずつ丁寧に固定！パッキンによってビス穴からの雨水浸入を防ぎます。

さらに瓦同士の隙間には黒色のコーキング材を充填し、防水性を高めました。

軒天の湿気対策

点検時に広範囲でシミがあった軒天には、軒裏換気口を複数設置しました。これにより小屋裏の湿気や熱気を効率的に排出できるようになります。

湿気対策は建物の耐久性を守るだけでなく、夏場の室温上昇を抑えることにもつながります。特に近年は高温多湿の傾向が強まっているため、暮らしやすさはもちろん、省エネ性にも良い変化が期待できるでしょう。

鳥の巣対策

最後に、雨押え板金下にあった鳥の巣を対策します。

今回は運が良いことに、卵やヒナがいなかったため鳥の巣を問題なく撤去できました。

問題なく…とは、「卵やヒナを処分するのはかわいそう」「動物に触りたくない」など感情的なものに起因しているわけではありません。

じつは鳥獣保護法では、卵やヒナがある場合の巣は撤去が禁止されているのです。もし卵やヒナを確認していたら、残念ですが今回の鳥の巣対策は、中がからっぽになるまで持ち越しとなっていたかもしれません…。

巣の撤去後は再発防止のためネットを設置。鳥は一度巣をつくったところを覚えており、なくなった後ももう一度同じところに作り直す修正があるため、こうした対策が効果的です。

完成後の仕上がり

一連の工事により、屋根全体が健全な状態に復旧しました！

点検時に確認された劣化症状はすべて解消され、これからも長く安心して暮らせる住まいへと仕上がりました。

屋根の劣化は早めの点検と修繕が大切

屋根や軒天は紫外線・風雨・湿気などの影響を受けやすく、放置すれば雨漏りや構造材の腐食、衛生被害につながります。

今回のように漆喰のひび割れや軒天のシミ、鳥の巣の痕跡などが見られたら、早めの点検と修繕が安心です。

街の屋根やさん名古屋南店では、点検から工事まで一貫対応し、お住まいを守る最適なプランをご提案しています。

「少し気になる」段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。

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