更新日：2015年09月21日

屋根の劣化、特に瓦などに隠れて見えない部分はなかなか分かりにくいものです。今回はそれを象徴するような形のお問い合わせを頂戴いたしました。昨日吹き荒れた真冬の嵐のような大風が経年劣化にて弱っていた屋根の木部に致命傷を負わせてしまったようでした。柏市のお客様のお宅へ早速お伺いさせていただきました。

屋根のケラバ部分の瓦が一つ外れているのがわかります。落下して粉々になってしまった瓦の残骸もありました。破片をご覧になってお分かりの通り粘土を焼いて作った瓦ではないことがわかります。俗にセメント瓦やモニエル瓦と呼ばれる瓦です。現在は生産されていないためなかなか入手が難しくなってきています。

屋根にのぼらせていただいて確認を行いました。他の落下していない瓦の釘もかなり浮いているのがわかります。木部は完全に劣化しカスカスの状態となっておりました。これでは釘が効く訳もなく非常に危険な状態となっていたわけです。そこに今回の大嵐のような大風が瓦を落下させたのでしょう。この部分は通常なかなか目視では確認は難しいのが実情です。屋根点検の際も触ってみてガタが出ていないことを確認する作業になることがほとんどです。逆に言えば今回の瓦の落下は屋根が点検してほしい、と発したメッセージと言ったら言い過ぎでしょうか？

棟廻りも一通り点検をさせていただいたところ、やはりかなりの部分で釘の浮きは確認ができ、また指で押せてしまうようなところも多数確認が出来ました。これは全体的に屋根の瓦の下にある野地板ではない木部の劣化が進んでいる証です。ケラバの瓦の落下してしまった部分ですがルーフィングを挟み込んで養生を行うことを試みましたが木部の腐食により固定が出来ず断念いたしました。雨の予報も出ているのでケラバ瓦が防いでいた雨の侵入をひとまずコーキング処置で行うことといたしました。屋根全体のメンテナンスを行うか破損部分のみの改修を行うかは今後のお客様とのお話合いになるかと思われます。