現地調査

　屋根調査の様子になります。こちらの建物は築20年経過した建物で、これまで1度もメンテナンスは行っていない建物になります。20年間手つかずとなっておりましたので、スレート屋根や棟板金の塗装には、経年劣化の症状が発生しておりました。

　スレート屋根は、モルタルを主な原料として形成された平板状の屋根材となります。モルタルは水分を吸収し易い材料となりますので、塗装を行うことで建材の表面に撥水性や防水性が付与されております。表面塗膜の劣化により、屋根材の保護性能が低下してしまうため新築より10～15年を目安にメンテナンスが推奨されます。

　続いて、指摘を受けた棟板金の調査を行いました。棟板金とは、屋根の面と面の切り替わる部分（棟）に設置されている板金になります。棟は、屋根材では隙間なく収めることが出来ないので雨押えの役割として板金が取り付けられております。

　大棟と隅棟を共に確認しましたが業者が指摘を行ったような板金が浮いてしまっているといった異常は見受けられませんでした。

　訪問業者からの指摘の多くは、点検すると実際に症状が起きていない事がほとんどですが訪問業者が点検の際に悪意を持って屋根を破損させてしまい修繕工事の契約を取るといった手法もありますので見ず知らずの業者が訪ねて来た際には注意が必要です。

　棟板金本体には、業者からの指摘があった症状は確認されませんでしたが、棟板金を固定している釘には複数個所で浮きが生じておりました。

　棟板金は下地の貫板にスクリュー式の釘で固定されておりましたが、木下地の経年劣化や板金の熱収縮による微細な動きの影響を受け年数の経過とともに徐々に浮きが生じてしまっております。今のところ、板金の固定力に問題は有りませんでしたが釘の浮きが進行し抜けてしまうと固定力が低下し強風時に飛散してしまうリスクが高まります。

　板金が飛散し、人や物へ接触してしまうと事故へと繋がってしまいますので定期的に点検を行い、問題が起こる前の対策が推奨されます。

棟板金補強工事をご提案！

　棟板金補強工事の様子になります。先ずは、棟板金を固定していた既存の釘が浮いてしまっている箇所の打ち直しを実施致しました。

　既存の釘の処理方法は、打ち直しか打ち替えのいずれかとなり既存の釘の状況により対応方法は異なります。今回は、下地の状況や打ち直しを行った際に釘が抜けて来なかった事を考慮して打ち直しにて対応を行いました。

　釘の打ち直しが完了したので、続いては棟板金の補強に移ります。

　今回の施工で使用するビスは、パッキンビスになります。ゴムパッキンが付いておりますので締めこんだ際に板金との隙間にパッキンが挟まることで緩みの防止や、雨水の浸入を防いでくれる効果があります。また、ビスには複数種類の長さがありますので状況に合わせた選定が必要となります。今回は、27mmのビスを選定致しました。

　棟板金を固定する際は必ず横方向から固定していきます。棟板金に対して真上から釘やビスを打ち込んで固定した方がより強く固定できると思われがちですが、ビス等で開いてしまった穴が真上に来てしまいますので、開けた穴から雨水が浸入してしまい雨漏りの原因になってしまいますので棟板金を固定する際は必ず横方向から固定します。

　ビスを締め込む際には、強く締め込んでしまうと板金の変形が生じてしまう場合がございますので程良い力で締め込むことがポイントになります。

施工完了