【現地調査】1階リビングに発生した雨染み

ご相談いただいたのは、陸屋根（りくやね・ろくやね）のお住まいのお客様でした。

陸屋根とは、上から見ると平らに見える屋根のことで、マンションやビルに多く見られますが、近年は戸建て住宅でも採用されることが増えています。

現地調査では、まず1階リビングの天井に雨染みの跡を確認しました。
お客様によると、台風のような強風と大雨のとき、横から吹きつける雨で大量の雨水が室内に浸入してしまうとのことでした。

天井に雨染みができるということは、すでに屋根や外壁から雨水が建物内部へ入り込んでいる証拠です。
この状態を放置すると、構造材の腐食やカビの発生など、より深刻な被害につながる危険性があります。

深刻な被害が発生した陸屋根の状態

次に、雨漏りの原因を特定するために屋上（陸屋根）の状態を詳しく調査しました。

実際に屋上へ上がって確認すると、お客様がご自身で塗られた塗料が、防水鋼板ごと浮き上がっている状態になっていました💦

【DIYによる失敗例】誤った防水塗装が劣化を早めていた！

お客様は数年前に、「防水できる塗料」として市販されている塗料をDIYで屋上に塗装されたそうです。

しかし、専門業者による下地処理やプライマー（下塗り剤）を使用していなかったため、塗料の表面だけが硬化し、防水鋼板や防水シートに大きな負担をかけてしまっていました💦

その後の経年劣化に加え、台風のような激しい風雨によって一気にダメージが表面化。防水シートが引っ張られて変形し、亀裂が発生しました。

この亀裂から雨水が浸入し、1階リビングまで雨漏りが拡大してしまったと考えられます。

このように、間違ったDIY施工はかえって建物の劣化を早めてしまう危険性があります。
特に屋根や防水工事は、見えない部分の密着性や水の逃げ道を考慮した専門的な知識と技術が不可欠です。

【神戸市長田区での施工事例】陸屋根の防水機能をしっかり回復させる工事

今回は、前回と同じ「塩ビシート防水（機械固定工法）」で施工しました。

まず、既存の防水シートと鋼板をすべて撤去し、下地からやり直す大規模な防水工事を行いました。
その上で、高い防水性能を誇る「塩ビシート防水機械固定工法」を採用。

施工の流れ

笠木と既存の排水ドレンを撤去

まず、防水施工の妨げになる屋上の縁にある笠木（かさぎ）を丁寧に取り外します。
笠木（かさぎ）とは、屋上やバルコニーの外周部にある立ち上がり壁（パラペット）の頂部を覆うカバー材です。
笠木の下には防水層があるため、作業のために一時的に外す必要があるのです。

また、今回は劣化していた排水ドレンも新しいものに交換しました。

これは、雨水がスムーズに排水されるようにするための重要な工程です。ドレンは屋上の雨水を排水する重要な出口です。

不具合があると水が溜まり、雨漏りの原因になります。
改修工事では一般的に「改修用ドレン」を差し込みますが、排水径が小さくなり能力が低下するのが難点です。
近年のゲリラ豪雨では特にリスクが高まります。

そこで今回は既存ドレンを撤去し、同径の新しいドレンを新設。
本来の排水機能を回復し、再発防止につなげました。

笠木カバーとドレン新設の施工完了

※ヘーベル住宅の場合は「浮かし貼り」と呼ばれる方法（床面のビスから先端鋼板までシートを浮かせる施工）を採用していますが、一般的な建物では密着工法や立ち上がり工法が多く使われます。

さらに今回は、笠木カバーの取り付けと新しいドレンの設置も完了。

下地はスタイロフォームという断熱材

既存の防水シートは硬化しており、さらに鋼板も変形していたため「増し貼り施工」ができない状態でした。（通常は既存防水の上に新しいシートを重ね貼りします。）

そのため、既存のシートと先端鋼板をすべて撤去し、下地を露出させました。
今回の下地はスタイロフォームという断熱材で構成されており、調査の結果、特に問題はなかったため補修は不要でした。

絶縁シートをはり、ディスク板を一定間隔でビス止め

新しい塩ビシートの敷設と融着

いよいよ新しい塩ビシート防水材を屋上に敷き込みます。

シート同士の重なり部分（ジョイント部）には、専用の溶剤を塗布してシート同士を溶かし、さらに熱風ガン（ライスター）で加熱してしっかりと融着させます。

今回は浮かし貼り（機械固定工法）のため、ローラーは使用しません。
この工法では、建物の動きや気温・湿度の変化によってシートが伸縮しても、防水層に影響が出ないように施工できます。

※ヘーベル住宅では、ディスク部分には溶剤を注射器で注入して融着しますが、一般的な施工ではアイロンのような工具で押さえて融着させる方法が用いられます。

ジョイント部分にシーリング打設

工事完了後

完成した屋上は、塩ビシートが美しく張られ、ドレンも確実に交換済みです。
これで台風や大雨が来ても雨漏りの心配はありません。

と、大変喜んでいただきました🎉

今回のように、DIYや市販の塗料だけでは根本的な雨漏り対策が難しいケースが多くあります。
特に陸屋根は雨水が溜まりやすく、台風やゲリラ豪雨で被害が出やすいため、専門業者による定期点検と正しい防水工事が欠かせません。

台風シーズン到来！お住まいの屋根・外壁は大丈夫ですか？

神戸市は毎年台風の影響を受けやすい地域です。
「うちは大丈夫だろう」と思っていても、築年数が経ったお住まいや、台風・大雨の後に異変を感じた場合は、放置せず早めの点検をおすすめします。

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神戸市長田区にお住まいで、台風や大雨による雨漏りや屋根・外壁の劣化にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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