建物自体は築４０年以上経つようなのですが、お客様曰く今まで特に不具合はなく大掛かりな修繕などは行っていないとのことです。屋根瓦全体は特に大きなズレや破損は見られませんでした。既に雨漏れの被害が発生していますので棟瓦（屋根の頂点にある瓦）のズレや漆喰などの劣化が原因ではないかということで積み直し工事を実施しました。

まずは既存棟瓦の解体を行っていきます。あくまでも積み直し（一度外して元に戻す作業）ですので破損しないように慎重に外していきます。年代物の瓦なので同じようなものは手に入らないので注意が必要です。
一番上の半円状のものが「冠瓦」、その下に「のし瓦」が積んであります。

順に瓦を外していくと土のようなものが出てきますがこれらも全て撤去していきます。これは「葺き土」と呼ばれ瓦を固定するために使われています。葺き土は粘土、川砂、藁すさを混ぜて出来ていますが経年劣化で瘦せてくると瓦を支えきれず、ズレが生じてしまいます。そのズレた部分から雨水が侵入してしまうのです。

全て撤去後、「南蛮漆喰」を詰めつつ瓦を積んでいきます。南蛮漆喰は通常の漆喰とは異なり主原料である消石灰に特殊なシリコンや防水材が配合されているため強度や防水性に優れています。そういった点から「葺き土」の代わりにも使用でき現在の施工ではよく使用されます。そしてのし瓦同士を「銅線」で結束し固定させていきます。

そういった作業を繰り返し行い冠瓦まで積み上げていきます。

最終的にのし瓦、冠瓦を銅線で緊結し、瓦の隙間に南蛮漆喰を詰めて完了です。

まとめ