施工前の状態（現地調査時）

現地調査時の状態です。

遠巻き・また下から見る分には正直そんなに問題がないように見えます。
しかし近づいてみますと、まず漆喰の劣化により剥離がかなり進行していました。

そしてその漆喰の上に積んである瓦ですが、浮きや隙間が開いてきています。
全体的にみても歪みがありました。

特にこういった問題がなければ漆喰の塗り直しで大丈夫なのですが
歪みがある場合は棟の取り直し工事が必要となります
※棟の取り直し工事とは既設の棟を一度解体して再度積む工事の事

また今回は全体的な瓦のズレもあったので葺き替え工事が望ましいのですが
お施主様との打ち合わせの結果、棟の取り直し工事で進める事になりました

お施主様にとって最適なご提案になるように努めます。

棟の取り直し工事の流れ

既設の棟を解体しました。
漆喰や土が沢山出るので掃除をしていきます。

そうしたら写真のような棟木を取り付けていきます。
以前は土の上に瓦を乗せて銅線での緊結のみでしたがやはり災害等には弱くなってしまうので
今は強力棟という金具を取付て、そこにこの棟木を取り付けます

最後に瓦をビスで固定していきますので従来の棟よりも強くはなります

棟木の上に強力な防水テープ（ハイロール）を使用して屋根の形状に合わせて貼っていきます。

これは乾式工法といい従来の湿式工法、つまり漆喰を使用したやり方よりもさらに軽量性があがります

最後に棟の瓦を取り付けてパッキン付きのビスで固定して完成です

こんな感じで仕上がりました。
写真を見比べてみると棟の高さが低くなっているのに気がつくと思います。
これは今回あえてそうしました。

もちろん同じように棟を高く積むことは出来るのですが
低くすることで屋根の軽量化、そして予算も抑える事が出来ます。

瓦1枚でも結構な重さがあります。
棟を高く積むことには昔は格式の高さ等の意味合いがありましたが
今ではそこまで気にされる方はありません

今回は屋根を少しでも軽くしたい・予算を抑えたいとの優先度が高かったのでこの様な内容となりました

もちろん意匠面等の優先度を考慮して同じ様な形にするのも悪くありません

皆様のお話を伺いながら工事のご提案をこれからも出来ればと思っております