松本市で行った屋根塗装の様子をご紹介します
積水ハウスさんの建物で屋根材はモニエル瓦です。ハウスメーカーさんの点検で屋根メンテナンスが必要と診断され、モニエル瓦は塗装できないので葺き替えるしかないということで、葺き替えの見積もりを提示されたそうです。ただその見積もりがあまりにも高額だったため、インターネットで情報収集する中で街の屋根屋さんのホームページを見つけお問い合わせいただきました。
点検に伺い屋根に上ると塗装が必要な状態ではありましたが、塗装ができないというような瓦の割れやかけなどはありませんでした。塗装できると判断し塗装のお見積りを提出いたしました。金額は3分の1以下だったということで、モニエル瓦の塗装の施工事例をお見せし、施工手順を説明して、ご納得いただいたうえで工事させていただくことになりました。

モニエル瓦とは、乾式洋瓦というセメント瓦の一種で、セメント瓦の基材に表面にスラリー層という着色層があります。スラリー層は着色された砂粒をセメント瓦表面に付着させた層です。モニエル瓦の塗装はこのスラリー層を徹底的に除去するところから始まります。左の写真のようにモニエル瓦が劣化するとスラリー層が剥がれてきます。指先に黒くついた汚れが着色した砂粒です。着色層は通常のように洗浄するだけでは完全に落ちません。残ったスラリー層の上から塗装をしてしまうと新しい塗膜がすぐに剥がれてしまいます。手に汚れがつかなくなるまで徹底的に洗浄する必要があります。
ちなみに、セメント瓦とモニエル瓦の見分け方ですが、右の写真がモニエル瓦です。断面が凸凹しているのがお判りでしょうか。この凸凹がモニエル瓦の特徴で断面で判断します。

洗浄をしっかりやれば後は同じセメント系の屋根材のスレートの塗装と同じなのですが、弊社では念のため浸透性の下塗り材（プライマー）を染み込まなくなるまで2回～3回塗って、表面を固めてしまいます。浸透させて固めてしまえば万が一スラリー層が残っていても剥がれることはありません。今回は3回に塗りして、表面が固い下地が出来上がりました。
使用した塗料はAGCコーテックのルーフプライマーEPOです。2液型弱溶剤塗料です。

洗浄でスラリー層を完全に取り除き、下塗りで硬い塗装面を作ったらあとは塗り残しがないように丁寧に中塗り、上塗りをかけていきます。下地を完璧に作れば適切な塗料であれば何を塗っても大丈夫ですが、今回は高耐久塗料のAGCコーテックのルミステージ弱溶剤GTを使用しました。フッ素樹脂塗料で分子構造の話になってしまいますが、塗料の分子の結合する力と紫外線が塗膜を破壊する力、塗料の守備力と紫外線の攻撃力の戦いで、守備力のほうが上なので長持ちするという塗料です。10年経っても塗りたてのツヤを維持することができます。

細かいところは刷毛を使って塗ります。これをダメ込みと言います。（左の写真）細かいところは見えないところが多いのですが、弊社の職人は見えないところも手を抜けない意識の高い職人です。
広い面はローラーを使って塗装します。（右の写真）

ツヤツヤの屋根に生まれ変わったモニエル瓦です。
弊社では数えきれない塗装工事を行ってきました。その中には今回のモニエル瓦のように特殊な屋根材も数多くありました。その豊富な経験からこの屋根にはこの施工方法、こんな症状の屋根にはこの塗料、などなど屋根材や劣化症状に応じて適切な施工方法、適切な塗料をご提案します。