こんにちは。
街の屋根やさん松本諏訪平店です。

今回ご紹介するのは、諏訪市中洲にある鉄骨駐車場の屋上防水工事です。
お客様から「屋上を歩くとポコポコ音がして心配」とご相談をいただき、現地調査を行いました。
確認すると、防水層が部分的に浮き上がり、下地まで水が回っている状態。放置すると雨水が侵入し、モルタルが割れてしまう危険があります。

このような場合、通常の密着工法では再発リスクが高くなります。
そこで今回は、内部の湿気を逃がせる「脱気工法防水」を採用しました。
「脱気工法ってなに？」「どんな手順で行うの？」という方にも分かりやすく、写真で順を追ってご紹介します。

💡 脱気工法とは？

防水工事には主に「密着工法」と「脱気工法」があります。
密着工法は、ウレタンなどの防水材を下地に直接くっつける方法。新築時など下地が乾燥している場合に適しています。
しかし、築20年以上経過した建物では、下地に湿気や水分が残っていることが多く、密着工法では防水層が剥がれたり膨れたりすることがあります。

脱気工法は、下地と防水層の間に「脱気マット（緩衝シート）」を敷き、その上に脱気筒を設置して、内部の湿気や空気を外に逃がします。
この“呼吸する防水”によって、湿気に強く長持ちする防水層をつくることができます。
長野県のように湿度や寒暖差の大きい地域では特におすすめの工法です。

🕳️ 防水層の浮きと劣化を確認

諏訪市中洲の鉄骨駐車場屋上の様子です。
防水表面にはシワや膨らみが多数見られ、足で踏むと「ポコポコ」と音がします。
これは下地に湿気がこもり、防水層が浮いている証拠。
このままでは雨水が侵入し、やがて雨漏りへと発展します。
見た目では分かりにくくても、踏んだときの感触で異常がある場合は要注意です。

🔧 劣化部分をカットし防水層を撤去

劣化した範囲を特定し、カッターで慎重に切り出していきます。
無理に剥がすと下地を傷つけてしまうため、少しずつ丁寧に作業を進めます。
浮きや膨れの範囲を確認しながら、健全な部分まで確実に撤去していきます。

🧱 湿気が残る既存防水層の状態

古い防水層をめくると、裏面に湿気の跡が見られました。
長年蓄積した水分が下地にしみ込み、防水層の密着を妨げていたことが分かります。
防水やり替えの際は、こうした湿気の原因を取り除くことが重要です。

💥 下地モルタルの劣化を確認

防水を剥がすと、下地のモルタルが割れてボロボロになっていました。
触ると簡単に崩れるほど劣化しており、これでは新しい防水材が密着しません。
放置するとさらに水が浸透し、構造体まで影響する可能性があります。

🧰 新しいモルタルで下地補修

傷んだモルタルを撤去し、新しいモルタルで補修します。
コテで表面を丁寧に均し、平らで滑らかな下地を整えます。
凹凸をなくすことで後の防水層がムラなく仕上がり、密着性も高まります。
この“下地の整え”が、防水工事の中でもとても重要なポイントです。

🪣 防水密着性を高めるプライマー塗布

モルタルが完全に乾いたら、プライマー（接着促進剤）を塗布します。
これは防水材と下地をしっかり密着させるための“のり”のような役割です。
ローラーで塗りムラが出ないよう均一に塗り広げ、乾燥をしっかり確認します。

✨ 均一に塗り上げられたプライマー面

塗布後の表面にはツヤが出て、光の反射で塗り残しが確認しやすくなります。
この状態で十分に乾燥させることで、次の脱気マットがきれいに密着します。
焦らず乾かすことが、後の防水層の耐久性を左右します。

🧩 脱気マットの敷設で“呼吸する防水”へ

脱気工法の要である脱気マットを敷き込みます。
裏面に粘着層があり、下地にしっかりと密着します。
このマットが下地と防水層の間で空気や水蒸気を逃がす“通り道”となり、浮きや膨れを防いでくれる重要な存在です。

🩹 ジョイント部分を専用テープで補強

マット同士のつなぎ目は、動きやすく割れやすい部分。
専用の補強テープを貼り、接合部の強度を高めます。
小さな隙間でも後々の雨水侵入につながるため、重ね幅や貼り方向まで細かく管理します。

⚓ 端末部分を念入りに補強

端部は風の影響や紫外線を直接受けやすいため、念入りにテープで補強します。
この部分の処理が甘いと、数年後に端から剥がれてしまうこともあります。
地味な工程ですが、防水の寿命を大きく左右する大切な作業です。

🌬️ 脱気筒を設置し湿気を逃がす仕組みづくり

脱気筒を取り付け、内部の湿気を外に逃がす通気口を確保します。
この筒があることで下地が常に呼吸でき、内部の膨れや浮きを防ぎます。
外観上は小さな部品ですが、脱気工法における“肺”のような役割を果たします。

🧵 脱気筒まわりの補強で安心構造に

脱気筒の根元も専用テープでしっかり補強します。
風や雨が吹き込んでも緩まないよう、根元の密着性を高めて固定。
補強を重ねることで、防水層と一体化した強固な構造になります。

🎨 ウレタン防水一層目の塗布開始

いよいよ防水材の塗布工程です。
まずはウレタン防水主剤を一層目として塗り込みます。
脱気マットの上に均一な厚みをもたせるよう、ローラーで丁寧に塗布。
補強部分は特に厚めに塗り、強度を高めます。

🔄 脱気筒まわりを重点的にウレタン塗布

脱気筒の根元やテープの上は、隙間を残さないように念入りに塗布します。
液状のウレタンが固まると弾力性のあるゴム層になり、防水と緩衝の両方の効果を発揮します。
見えない部分こそ、職人の丁寧な手仕事が問われる工程です。

🧴 一層目全体塗布完了！なめらかな防水面に

ウレタン防水一層目の塗布が完了しました。
マットが完全に覆われ、滑らかでツヤのある仕上がりです。
この段階では既存部分との色差がありますが、後の工程で統一感を出します。
しっかり乾かしてから次の工程へ進みます。

🪄 二層目の塗布で防水強度をさらにアップ

完全乾燥後、二層目を塗布します。
重ね塗りすることで膜厚を確保し、耐候性・耐久性がさらに向上します。
ローラーを往復させて塗膜の厚さを均一にし、しっかりとした防水層を形成します。

🧠 細部の端末処理で仕上がりを美しく

細かい端部や立ち上がり部分も丁寧に塗り重ねます。
角の処理が甘いとそこから水が侵入するため、慎重に確認。
細部まで手を抜かないことで、完成後の美しさと耐久性が保たれます。

☀️ トップコート塗布で美観と耐久性をプラス

仕上げにトップコートを塗布します。
紫外線や風雨からウレタン防水層を保護し、耐久性を高めます。
光沢のあるグレーの仕上がりで、美観性も向上。
見た目がきれいになるだけでなく、防水寿命もぐんと延びます。

✅ 完工！美しく蘇った屋上防水

すべての工程が完了しました。
表面はムラがなく均一で、浮きや剥がれも一切ありません。
施工前に比べて歩行感も安定し、見た目もすっきりとしました。
これで安心して長く使える屋上になりました。

まとめ

今回のように下地が湿気を含んでいる場合、密着工法では再発の恐れが高くなります。
脱気工法は、内部の水分を逃がしながら長期的に防水を維持できる“呼吸する防水”。
屋上だけでなくベランダやバルコニーにも適しています。

防水は見た目では判断が難しいため、「浮いている」「膨らんでいる」などのサインがあれば早めの点検をおすすめします。
定期的なメンテナンスで大切なお住まいを守りましょう。

お客様の声と担当者よりひとこと

お客様の声

雨が降るたびに駐車場の天井からポタポタと水が落ちていましたが、今ではすっかり解消しました。
職人さんが毎日作業内容を説明してくれて安心でした。
仕上がりもとてもきれいで、これでしばらくは安心です。
屋上の防水が4日で終わるとは思わず、対応の早さにも驚きました。

担当者よりひとこと

今回は、下地の劣化と湿気の多さを考慮して脱気工法を選びました。
下地からしっかり直すことで、防水層の密着性と耐久性を最大化しています。
長野県のように湿度・寒暖差の大きい地域では、脱気工法が非常に効果的です。
今後も定期点検で経過を見守りながら、末永くサポートいたします。

🏔️ 地域コラム：諏訪市の防水事情

諏訪市は諏訪湖からの湿気や寒暖差の影響を強く受ける地域です。
特に屋上やベランダは、昼夜の温度変化で膨張と収縮を繰り返すため、防水層が浮きやすくなります。
また冬季は凍結と融解が繰り返され、小さなひび割れから水が入り込みやすいのが特徴です。

街の屋根やさん松本諏訪平店では、地元の気候を熟知したスタッフが、最適な防水方法をご提案しています。
「見た目がきれいでも中が劣化していないか不安」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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