きっかけは定期点検で見つかった漆喰や瓦のゆがみ

屋根は、太陽の紫外線や風雨にさらされ続けています。そのため知らないうちに劣化が進んでしまうことも、少なくありません。

今回の住まいも同様に、瓦の下地を支える「漆喰（しっくい）」にひび割れが発生していました。また、棟瓦のわずかな歪みやコーキング材の劣化、アンテナの影響による「もらいサビ」なども見られました。

これらの劣化症状は雨水の侵入を招きやすく、建物内部の木材を腐らせたり、カビが発生したりするリスクにつながります。そのため今回は棟瓦と袖瓦を一度すべて取り外し、下地を補強してから復旧する「取り直し工事」を行うことにしました。

棟瓦をいったん取り外し、下地を確認

棟瓦とは屋根のてっぺん部分に使われている瓦のことです。まずはこれらを一枚ずつ慎重に取り外していきます。外した瓦は再利用するため、傷つけないようにていねいに保管します。

取り外した瓦の内部にある「下地」を確認すると、木でできた「垂木（たるき）」という部分が雨水の影響でひどく傷んでいました。

この垂木が弱ってしまうと、釘やビスをしっかり固定できず、棟瓦がズレたり落ちたりするおそれがあります。

腐らない樹脂製垂木でしっかり補強

傷んだ木の垂木を撤去した後、新しく取り付けたのが「樹脂製垂木」です。

樹脂製の垂木は雨に濡れても腐ることがなく、釘やビスの保持力も長期間保つことができます。木材に比べて強度が高いため、棟瓦が風で飛ばされたりゆがんだりするトラブルを防ぐことができます。

垂木は、屋根の土台である「野地板（のじいた）」に金具を使ってしっかりと固定しました。これにより、屋根と棟が一体となった強い構造をつくることができます。

南蛮漆喰を使って、土台をしっかりと固定

次は樹脂製垂木のまわりを「南蛮漆喰（なんばんしっくい）」という材料で塗り固めていきます。

南蛮漆喰とは、普通の漆喰にシリコンや樹脂を混ぜたもので、防水性や耐久性がさらに高い漆喰のことです。瓦をしっかりと固定すると同時に、雨水が建物の中に入らないよう守ってくれる大切な役割を担っています。

今回は屋根の色に合わせて、黒色の南蛮漆喰を使用しました。こうした細かな配慮で、見た目もきれいに仕上がります。

棟瓦を再設置して、取り直し工事が完了！

土台が完成したら、取り外していた棟瓦を元通りに設置していきます。1枚ずつていねいに並べながら、ビスでしっかりと留め付けていきます。

これで、棟の取り直し工事は完了です。

新しい下地と南蛮漆喰のおかげで、地震や台風が来ても安心できる、しっかりとした屋根の構造が完成しました。

続いて、ケラバの袖瓦も取り外して補修

次は、屋根の端にあたる「ケラバ部分」の工事です。

ここに使われている「袖瓦（そでがわら）」も、長年の風雨で下地が傷んでいました。取り外してみると、木材が湿気で変色し、耐久性が落ちているのがわかりました。

ケラバ部分はとくに風の影響を受けやすいため、強風によって瓦が飛ばされるなどの危険もある場所です。そこで、こちらも下地の補強を行いました。

水切り板金を使って、下地を守る工夫を

袖瓦の下地は、既存の木材下地を活かすことにしました。ただし、このまま使用しては強度に不安が残るため、「水切り板金（すいきりばんきん）」という金属の部材を木材下地にかぶせて補強しました。

この水切り板金には、雨水が下地にしみ込まないようにしてくれるので、木材の劣化を防ぎ長持ちさせる効果があります。

端の部分には防水のための「捨てコーキング」も施し、すき間から水が入らないようていねいに仕上げています。

袖瓦を元に戻して、強いケラバ構造に！

補強が終わったら袖瓦を元の位置に戻し、ビスでしっかりと取り付けていきます。

取り付け後は強風でも飛ばされにくく、雨水も入りにくい、しっかりとしたケラバ構造になりました。これで、これから先も安心して過ごせる屋根に仕上がりました。

屋根の劣化は見えにくいからこそ、定期点検が大切です

瓦屋根はとても長持ちしますが、漆喰や下地、板金などの「まわりの部品」は時間とともに傷んできます。

見た目がキレイでも内部で傷んでいることも多く、今回のように定期点検で早めに見つけて対処することで、大きなトラブルを防ぐことにつながります。

「うちはまだ大丈夫かな？」「ちょっと気になるな…」と少しでも不安に思ったら、どうぞお気軽にご相談ください。街の屋根やさん名古屋南店では、屋根の点検・お見積もり・ご相談をすべて無料で行っております。

専門スタッフが、やさしく丁寧に、住まいの状態に合わせたご提案をするので、住まいを長持ちさせるためにも、ぜひ一度ご検討ください。

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