現地調査で瓦のズレやビスの不具合を発見

工事前の点検では、屋根のケラバ部分に取り付けられている「袖瓦（屋根の端を保護するための瓦のこと）」のズレが目立ちました。

また、瓦を固定しているビスもゆるんでいるようです。これらの発生原因は、下地の劣化によるものと考えられます。

このまま放置すると、瓦が落ちてしまう危険性もあり、家の外観だけでなく安全面にも影響を及ぼします。そのため袖瓦を一度すべて取り外し、下地をしっかりと補強してから再設置する「取り直し工事」を行うことになりました。

袖瓦を取り外して下地の状態を確認

まずは屋根に足場を設置し、袖瓦をていねいに外していきます。取り外した瓦は再利用するため、破損しないように慎重に保管します。

袖瓦を取り外してみると、やはり下地の木材が湿気で黒ずみ、サビたビスも確認できました。屋根の端は雨風の影響をとくに受けやすく、時間が経つと木材が腐ってしまい、瓦をしっかり支えられなくなることがあります。

さらに、袖瓦の裏側には鳥の巣の痕跡もありました。屋根にできたすき間から鳥が入り込み、巣をつくってしまったのでしょう。微笑ましい状況にも見えますが、実際は糞や鳴き声の被害、さらには瓦の破損の原因など、「鳥害」に悩まされることも少なくありません。

傷んだ木材を腐らない樹脂製下地に交換

傷んでいた下地の木材は鳥の巣と共に撤去をし、腐りにくい「樹脂製（じゅしせい）」の下地材に交換することにしました。樹脂は水に強く木材と比べて劣化しにくいため、屋根のように過酷な環境にはぴったりの素材です。

下地の交換が終わったあとは、保管していた袖瓦をひとつずつ元の場所に戻していきます。これでケラバ部分の袖瓦取り直し工事が完了しました。

今度は棟瓦も取り外して下地を作り直し

今回の屋根点検では、棟（屋根の一番高いところ）も劣化していることがわかりました。棟は屋根の中でも特に風や雨にさらされやすく、ズレや破損が起きやすい場所です。

棟瓦を外してみると、こちらも中の木下地がかなり変色しており、雨水の影響を受けて弱っている状態でした。

そこで、棟の下地にも防水性の高い「水切り板金」を被せて、雨から守る工夫を行いました。この板金によって、木が水にぬれにくくなり、腐食を防ぐ効果が期待できます。

樹脂製の垂木と南蛮漆喰で土台をしっかり補強

水切り板金の取り付けが終わったあとは、棟瓦を支えるための「垂木（たるき）」を設置します。ここにも、木ではなく樹脂製の材料を使用しました。

樹脂製の垂木は、腐らずに長持ちするだけでなく、釘やビスをしっかり固定できるので、屋根の強度を長く保てるメリットがあります。

さらに垂木の周りには「南蛮漆喰（なんばんしっくい）」という材料を使って、土台部分を固めていきます。南蛮漆喰は瓦を固定するだけでなく、水が中に入り込むのを防ぐ役割も果たしています。

今回使用したのは、屋根の色に合わせた「黒」の南蛮漆喰です。見た目の統一感も大切にしながら施工を進めました。

最後は冠瓦の復旧とすき間のコーキング処理

土台が完成したら、最後は取り外していた「冠瓦（かんむりがわら）」を元通りに設置していきます。冠瓦とは屋根の頂上をおおう瓦で、しっかり固定することで雨水の侵入を防ぎます。

瓦をビスでしっかりと留め付け、耐風性もばっちりです。

そして袖瓦と棟瓦が交わる部分など、細かいすき間には「コーキング材」を使ってすき間をしっかり埋めていきます。これでどこからも雨が入り込まない、強くて安心な屋根が完成しました。

屋根のメンテナンスは放置せず、早めの対応を

屋根の下地や漆喰、ビスなどは、普段はなかなか目に見えません。しかし年月とともにどうしても劣化してしまうため、定期的な点検がとても大切です。

とくに風の影響を受けやすいケラバや棟部分は、トラブルが起こりやすい場所でもあります。早めに対応することで、雨漏りや瓦の落下といった大きな被害を防ぐことができます。

街の屋根やさん名古屋南店では、屋根の点検・ご相談・お見積もりをすべて無料で承っています。

今回のように、見えない部分で不具合が進んでいることもあるため、「うちは大丈夫かな？」と少しでも感じたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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