更新日:2021年08月20日
軒天は、外壁部分から外側に出ている屋根部分で、下から見上げた時に見える
屋根の裏側=
天井です。
軒天井(のきてんじょう)や
軒裏(のきうら)とも呼ばれています。「軒(のき)」というと、雨宿りしたりする「軒下(のきした)/軒先(のきさき)」という言葉はご存じかもしれませんね。
庇(ひさし)とは異なります。
軒天の役割
● 屋根の内部構造を隠し、美観性の向上を図る
● 耐火性のある部材を使用し火災時の延焼拡大を防ぐ
● 雨・風による外壁の劣化を防ぐ
●有孔材を用いたり、換気口を設置する事で屋根裏の内部結露を防止
これらの重要な役割を担っている軒天ですが、近年の洋風住宅のほとんどが軒天を設けていません。
軒裏には
一定基準以上の「
防火性能」が求められています。
防火性能とは「
建築物の周囲で発生する火災による延焼を抑制する性能」のことです。技術的な基準は「外壁および
軒裏は、周囲で発生する火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間、当該加熱面以外の面の温度が可燃物燃焼温度以上に、上昇しないこと」とあります。このため、防火性能のある
不燃材が多く使用されるようになっています。
軒天材の種類
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ベニヤ板(カラーベニヤ)
防火地区*などでは使用不可。
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ケイカル板(不燃材)
主原料は水酸化カルシウム、ケイ酸質原料、補強用繊維など。これらを合わせてオートクレーブ養生という手法で結晶化し板状に成型したもの。
耐火性・耐熱性・防湿性が高いため耐久性があります。現在使用されている軒天材では主流となっています。
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スラグ石膏板
スラグ(鉱物)に石膏を混ぜて作られており、エクセルボードとも呼ばれています。
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フレキシブルボード
ケイカル板と同じ不燃材ですが、原料はセメントに補強繊維を混ぜ合わせた軒天材で「ニチハ」の軒天材(パルプ繊維混入セメント板)があります。衝撃に強く、強度に優れていますが重いため、下地の補強など注意が必要です。ケイカル板と比較すると、重く金額も高めです。その他「ケイミュー」の軒天材ライトシリーズもあります。こちらは軽量商品ですが、やはり金額は高めです。
防火地域*と防火性能
防火地域は、行政による
都市計画で指定される地域で、市街地での火災を防止するため最も厳しい
建築制限が定められた地域です。指定される場所は、建物の
密集度が高い地域/火災のときに消防車や救急車など緊急車両が通る
幹線道路沿いの地域となります。都市計画法による定めに従って、都市における建築等を建築基準法により規制されています。