クボタアーバニー屋根の点検とメンテナンス方法|塗装可能か?葺き替え・カバー工法の判断基準を解説
更新日:2025年10月29日
クボタアーバニーは、スレート系屋根材の中でもデザイン性が高く、全国で多く採用されてきた人気の屋根材です。
ただし、一部の製造年代にはアスベストが含まれている製品も存在するため、リフォームや撤去の際には専門業者による事前調査が欠かせません。
また、クボタアーバニーは表面にスリット(切り込み)を設けた独特の構造を持つため、塗装によるメンテナンスが難しい屋根材としても知られています。
経年劣化により塗膜や基材が傷むと、塗装では耐久性を十分に回復できないケースが多く、カバー工法や葺き替えが適したメンテナンス方法となります。
今回は、市原市で実施した点検事例をもとに、アーバニー屋根の劣化症状・塗装可否・リフォーム方法について詳しく解説します。
クボタアーバニーはもともと美しい
石目調の意匠性が魅力の屋根材ですが、塗膜の劣化が進行すると防水性が低下し、汚れやコケが付着しやすくなります。
特に日当たりの悪い面では
藻や
カビが発生し、
全体的に黒ずんだ印象を与えることがあります。
この状態を放置すると、表層の劣化が進み、次第に雨水が内部へ浸透しやすくなります。
汚れが目立ち始めた段階が、
メンテナンスを検討される初期サインといえるでしょう。
アーバニー屋根でよく見られるのが、スレート表面のひび割れや欠けです。
これは長年の熱膨張・収縮による応力や、塗膜の劣化に伴う吸水膨張が原因で発生します。
ひび割れ部分から水が侵入すると、屋根下地(防水紙)まで傷んでしまう可能性があり、早めの補修や交換が必要です。
軽微なひび割れであればコーキング補修で対応できますが、広範囲に亀裂が入っている場合は塗装よりもカバー工法を検討したほうが長期的に安心です。

クボタアーバニーの特徴のひとつに、
スリット(切り込み)構造があります。
この構造は、
一枚の屋根材にスリット(切り込み)を入れて葺いていくことで、
うろこのような独特のデザインに見えるのが特徴です。
デザイン性が高く、外観に立体感や陰影を与えるため、多くの住宅で採用されました。
しかし、この
スリット部分は意匠性を高める一方で、
雨水が滞留しやすく、経年とともにコケや汚れがたまりやすい箇所でもあります。
塗装メンテナンスではスリット内部の防水性を完全に回復させることが難しく、劣化が進行すると雨漏りの原因になることもあります。
そのため、点検時にはスリット内部のコケ・割れ・浮きを重点的に確認し、必要に応じて補修や
カバー工法を検討することが大切です。
防水紙の耐用年数を超えたら塗装よりも葺き替え・カバー工法を検討

屋根材の内部(下地)には防水紙(ルーフィング)が張られていますが、その
耐用年数はおおむね20年前後といわれています。
防水紙の劣化が進行すると、たとえ表面を塗装しても雨漏りを完全に防ぐことはできません。そのため、築20年以上が経過している屋根では、
カバー工法または
葺き替え工事がおすすめです。
カバー工法なら
既存屋根の撤去を最小限に抑えられ、費用を抑えつつ新しい屋根材を重ね葺きできます。
また、
断熱性や遮音性も向上するメリットがあります。

カバー工法とは、既存の屋根を撤去せずに新しい金属屋根材を重ねて施工する方法です。
工期が短く、
廃材が少ないため、
環境にもやさしいリフォームとして注目されています。
クボタアーバニーのようなスレート系屋根は軽量であるため、ガルバリウム鋼板などの軽量金属屋根を重ねても建物への負担はほとんどありません。
特に、沿岸部では、塩害にも強いガルバリウム屋根へのカバー工事が人気です。
見た目の美しさと耐久性を兼ね備えた屋根に生まれ変わります。
クボタアーバニー屋根はデザイン性に優れていますが、経年劣化によって塗膜や防水層の機能が低下するため、定期的な点検が欠かせません。
ひび割れやスリット部分の劣化が見られる場合は、塗装ではなくカバー工法または葺き替えを検討することをおすすめします。
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