ひたちなか市 雨漏りが続く差し掛けコロニアル屋根へのカバー工法
更新日：2025年10月9日
お伺いしたのは築50年以上の住宅。
先に見せていただいた居室は、もう長く雨漏りが続いているそうで、天井クロスが剥がれ、穴があいている状態でした(>_<｡)
屋根の形状を拝見すると、屋根の頂点の位置をずらして合わせたような形状の「差し掛け屋根」でした。
差し掛け屋根は、外壁の立ち上がりが屋根の仕舞い（終わり部分）になるため、その「境目」に雨水が集まりやすい構造です。
外壁と接する取り合い部分は、風雨の影響を受けやすく、経年劣化や施工不良があると、壁際から雨水が侵入しやすいという弱点も…。
外壁と接する取り合い部分は、風雨の影響を受けやすく、経年劣化や施工不良があると、壁際から雨水が侵入しやすいという弱点も…。
屋根材は「コロニアル」と呼ばれる化粧スレート材でした。
コロニアルはセメントを基材とした軽量屋根材で、現在も多くの住宅で使われています。
厚みは約4〜5mmほどと薄く、水分を吸いやすい性質を持っています。長期間メンテナンスを行わずに放置すると、塗膜が剥がれて水を吸収し、反りやひび割れが生じやすくなるのが特徴です。
現場を確認すると、屋根表面の塗装膜はほとんど剥がれた状態で、カビやコケの繁殖が目立ちました。浮きや反りも見られ、手で押すとふわっと沈む箇所も…。これは内部の防水紙がすでに劣化しているサインです。
調査の結果、今回の雨漏りは「防水紙の劣化」と「壁際の雨返し（雨水の逆流を防ぐ仕組み）」の不具合によるものでした。
差し掛け屋根は壁との取り合い部分が複雑なため、ほんの少しでも施工精度が悪いと、内部へ水が入り込みやすくなります。寿命を超えた防水紙はすでに防水性能を失い、雨返しも十分に機能していませんでした。
まずは既存の屋根をデッキブラシでしっかり洗浄。長年にわたって付着した汚れやカビを落とし、新しい防水紙を密着させる準備を整えます。
十分乾かした後、粘着式の改質アスファルトルーフィングを屋根全体に敷き詰めました。
この防水紙は釘を使わず、下地に直接密着するため雨水の侵入リスクを抑えられます。
今回使用する防水紙は、田島ルーフィングさんのタディスセルフです。
貼り直しができる遅延粘着仕様なので、敷設直後は位置の修正が可能で、一定時間が経過すると強固な接着力を発揮するタイプ。
コの字型の針で固定するタッカー留めとは異なり、針穴があかないため、カバー工法には最適な下葺き材です。
続いて、軒先部分には雨水の流れを受け止める唐草板金を取り付け、屋根面同士が合わさる谷部分には新しい谷板金を施工。
これらは雨仕舞い（建物に雨水が入らないようにする工夫や仕組み）の要となる部材で、屋根から流れる水をスムーズに外へ逃がす役割を持っています。
防水紙を敷く際に、あらかじめ屋根の下地を支える垂木（たるき）の位置を印しておきます。
これは、後から屋根材を固定する時の重要な目印になります。
屋根材を垂木に直接固定することで、
・風による浮き上がりを防げる
・釘やビスがしっかり効くため、長期的な安定性が高まる
といったメリットがあります。
野地板だけに固定してしまうと、時間が経つうちに釘が緩んだり、浮きやすくなることもあるため、当店では構造的に強い「骨」に留めることを標準施工としています。
差し掛け屋根は、外壁と屋根が接する部分の施工がとても大切です。
雨返し板金などの防水処理を含め、ガルバリウム鋼板製の屋根材の重ね葺きの様子は近日中にお届けしますので、ぜひご覧くださいね٩(ˊᗜˋ*)و*
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