御所市で雨漏りの疑いから無料点検をして、崩れた棟瓦を発見しました
更新日：2021年6月4日
屋根のてっぺんの大棟の棟瓦が大きく崩れていました。
土葺き工法で施工されている棟瓦からは葺き土が流れ出ていました。
土葺き工法とは、瓦の下に葺き土と呼ばれる粘土質の土を敷いて、土の粘着力によって瓦を固定する工法です。
関東と関西の２つの大地震が起こる以前はよく見られた工法ですが、ビスなどで固定することなく土の粘着力のみに頼っているため年月の経過とともに瓦がズレるという現象が起こりやすくなっています。
瓦と葺き土の重みで屋根の重量が重くなるため、耐震性などの理由から現在新築の家を土葺き工法で施工することはなくなりました。
瓦は屋根材の中でも長寿命であり、瓦屋根のお宅では築年数が50年以上というお家も少なくありません。
既存の瓦屋根に於いては、土葺き工法もまだまだ健在です。
屋根に降り注いだ雨水が屋根材に侵入しても雨漏りが起こらない理由の一つに、葺き土が雨水を吸収してくれるおかげということがあります。
葺き土が流れ出ているということは、棟瓦の下の葺き土が減少しているということで、雨漏りリスクが高くなるということはお分かりいただけると思います。
ここまで崩れていても大きな雨漏りに繋がっていないのは、葺き土がまだ働いてくれているからですね。
一昔前までは熨斗瓦を何枚も積み棟瓦を高くして、家を立派に見せるという役割も果たしていました。
見栄えだけではなく、段数が多いほど屋根下地への雨水の侵入を防ぐことが出来るという理由もあります。
ただ、棟瓦が高いほど強風や地震による影響を受けやすく、歪みや崩れが起こりやすいということも事実です。
点検時の屋根の写真をご覧になったお客様はとても驚かれていて『すぐにでも工事してほしい。』と言われましたが、経済的に大きな金額は出せないとのこと。
幸い、平部の瓦には大きな割れやズレがほとんどありませんでしたので、今回は雨漏りの原因と思われる棟瓦を部分的に積み直すことになりました。
ただ、それは一部分であり、全部の棟瓦に不具合があったということではありません。
工事費用を少しでも抑えるために、崩れやズレが無く綺麗な状態の棟瓦はそのまま使用することにします。
でも、棟全体を点検したところ、棟瓦の下の漆喰は剥がれて無くなっていたり割れていたりしているところがほとんどでしたので、全ての棟瓦に漆喰の詰め直し工事をすることに納得していただきました。
漆喰は内側の葺き土を風雨から守ってくれています。
漆喰の寿命は約20年程度であるため、寿命を過ぎた漆喰は徐々に割れたり剥がれたりしてしまうものです。
漆喰の劣化も棟瓦の崩れの一因と言えます。
古い漆喰が少しでも残っていると、新しい漆喰が葺き土と密着せずに数年で剥がれてしまうこともあります。
残っていた古い漆喰を剥がしてみると、崩れていない棟瓦の下の葺き土はしっかりと詰まっています。
この上に新しい漆喰を詰め直せば、雨漏りは十分防止できます。
瓦屋根のメリットの一つが、破損した瓦を１枚ずつ交換できるところにあります。
新しい瓦と交換しておきましょう。
次のブログでは、棟瓦の一部取り直し工事の様子から完成までをご紹介します。
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