ぜひ知っておいて欲しい、屋根勾配と屋根材の密接な関係性
【動画で確認「屋根勾配」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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どうして屋根には角度がついているのか、皆様は考えてみたことがありますでしょうか? 屋根は時代や環境などの様々な要因によって変化をしてきましたが、ほとんどの形状には共通して傾斜が設けられていますよね。その理由は、屋根に降り注いだ雨水を地面へと流すためだからです。
そうなると今度は、なぜ傾斜の角度が屋根ごとに違っているのかが気になりませんか? 実は、皆様の屋根に設けられている勾配の大きさにもそれぞれ理由は存在するのです。このページでは、そんな屋根勾配と屋根材との関係についてご紹介し、勾配の大きさによって変わるメリットやデメリットを確認してみたいと思います。
屋根工事のプロが解説!屋根勾配 基礎知識
屋根の角度を示す「勾配数」の表し方
まずは屋根の傾斜の度合いを表す「勾配数」が3つありますので、それぞれを確認してみましょう。
1.尺貫法勾配(寸法勾配)
下の図をご覧いただきたいのですが、尺貫法勾配(寸法勾配)は屋根の頂点から水平距離10寸(303.03mm)の間にどれほどの高さがあるのかを、寸を用いて表す方法です。寸の数字が大きいほどに、勾配も角度を増していきます。建築業界では昔から使用されていた「尺貫法」による表記が多く、ここでも「尺」や「寸」という単位が用いられています。
※寸(すん)は、尺貫法における長さの単位であり、日本では約30.303 mmで、尺の10分の1と定義されます。寸の10分の1が分(ぶ)です。 ※1尺=10寸
2.分数勾配
先に紹介した尺貫法勾配と図は似ているのですが、表し方に分数を活用しているのがこの分数勾配です。10寸に対して3寸の高さがあれば「3/10」と表記します。そのため、5寸の高さであれば「5/10」なのですが、約分して「1/2」と表すこともある方法です。
3.角度勾配
感覚的に一番想像しやすいのは、やはり角度による表記ではないでしょうか。勾配が「31゜」のように表されると、他との比較もしやすいかと思います。
ですが下の図を見てみますと、寸ごとに計測される角度は小数点以下が極端に細かくなってしまいます(5寸では「26.5650゜」)。そのせいか、建設業界ではあまり使われていない表記方法のようです。あくまで尺貫法を主軸に据えているのが、勾配数の面白い捉え方ですね。
屋根勾配と屋根面積の関係
屋根勾配がほぼゼロの陸屋根、急な勾配の三角屋根、どちらの面積が広いかは言うまでもありませんよね。勾配が急になるほど屋根の面積は広くなりますから、屋根材もそれだけ必要になります。
また、勾配によっても施工のしやすさや手間も変わりますから、コストも変わってきます。
一般的には5.5寸勾配以上になると屋根足場を仮設しなければなりません。
屋根勾配によって使用できる屋根材も異なってくる
さて、冒頭でも記述しましたが、屋根勾配と屋根材には密接な関係性があります。
日本では瓦やスレートが使用されている屋根をよく見かけるかと思いますが、そういった屋根材には使用できる勾配数がそれぞれ定められているのです。その具合を最低勾配と言い、決められている数値以上の勾配がなければ、指定された屋根材は葺くことができないという基準になっています。
■各屋根材の場合
必要最低勾配が最も大きい屋根材は、日本屋根の代名詞とも言える「瓦」で4寸以上ですね。この最低勾配はどのように定められているのでしょうか。思い出して欲しいのですが、そもそも屋根に角度がついている理由は、雨水を地面へ流すためでした。そのため、この最低勾配は「それぞれの屋根材が雨水を流せるほどの排水性」を元に決められた角度なのです。
屋根材に適した勾配がなければ、一定量の雨水は屋根に溜まったままになります。溜まった雨水が屋根材の重なり部分から内側へ侵入する前に乾いてくれれば良いのですが、日当たりの悪い北側に面した屋根ではそれも難しく、最終的には雨漏りなどの被害へと発展してしまいます。だからこそ、厚みのある瓦は最低勾配が他よりも高く設定されているのです。試しに街中で瓦屋根を見つけたら、他の屋根材との勾配を比較してみてください。場合にもよりますが、傾斜がスレートや金属屋根よりもきつく感じられるかもしれません。
急勾配・並勾配・緩勾配それぞれのメリットデメリット
4寸以上の勾配では屋根材を自由に選ぶことができ、本来の役割である水きれの良さも確保されるため、傾斜の角度が大きいほどメリットも多いように感じます。しかし、勾配が急になり過ぎると屋根に上ることが難しくなり、メンテナンスの作業中には専用の屋根足場が必要となるため、施工コストが他よりも掛かりやすいという急勾配ならではのデメリットが発生します。
ここからは、そういった勾配ごとに生じる利点と欠点について比較してみましょう。
急勾配の特徴(6寸勾配⦅約182.0mm・約31゜⦆以上の屋根)
急勾配の屋根は雨水の排水性において大変優れています。その反面、屋根として必要な面積は勾配が大きくなるにつれて増えるため、風の影響を他よりも強く受ける傾向にあります。
並勾配の特徴
(3寸~5寸勾配⦅約91.0~152.0mm⦆⦅約16.7゜~26.6゜⦆の屋根)
並勾配の特徴(3寸~5寸勾配⦅約91.0~152.0mm⦆⦅約16.7゜~26.6゜⦆の屋根)
おそらく最も見慣れているのが並勾配です。使用率の高さに頷けるほどメリットは豊富ですが、個性的なお住まいを希望されている方にはあまり魅力的に映らないかもしれません。
緩勾配の特徴(3寸勾配⦅約91.0mm・約16.7゜⦆以下の屋根)
先ほどご紹介した通り、瓦を葺くには4寸以上の勾配が必要になるため、緩勾配では使用できる屋根材が限られてしまいます。ですが、風の影響を受けにくいという利点から、猛威を振るう台風などの強風からは影響を軽減させることが可能です。
新しく家を建てたいと思ったとき、屋根の種類には悩むことがあっても、勾配にまで意識が向かうことはあまりないかと思われます。ですが、上記のようにメリットやデメリットはそれぞれで異なり、住む地域や今後の施工コストから最適な勾配の大きさを選択することはとても重要なのです。
将来のリフォームを見据えて中古物件を購入したのに、勾配によって希望通りの屋根に変えられなかったというケースが起こり得るかもしれません。ですので、家という大きなお買い物の際には、ぜひ屋根の勾配のことも考慮していただければと思います。
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