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宝塚市で屋根点検の依頼を受けたいぶし瓦の劣化症状は軽症だった
更新日:2021年5月27日
宝塚市で漆喰補修と軒樋交換をしたお宅のお隣様からの依頼です。
数年前に瓦が落ちてきたことがあり、どの程度の劣化か気になっていたとの事。
実際の劣化状態を屋根の上で見ると、面戸漆喰の剥がれ、熨斗瓦のずれ、表面の変色が見られます。
棟面戸とは棟の熨斗瓦と平瓦との間に出来る隙間を指し、面戸瓦や漆喰で充填されます。
建築一般の面戸と言えば広い意味がありますが、ここでは棟面戸に限定します。
漆喰は消石灰を主原料とした建材の一種で、石灰石を粉体化させ、のりやスサを添加して水を加えて練った物です。
乾燥して硬化すると、高い遮水能力を発揮しますので、外壁や屋根の各部に生じる面戸に塗られて葺き土を守ります。
漆喰にも寿命があり、地域環境によってその時間は様々ですが、10年を超えると劣化症状が見え始めることが多いです。
横殴りの雨の時に雨水に晒され、乾燥と湿潤を繰り返して、面戸の隙間を埋める働きを失っていきます。
また棟内部に雨水が侵入して葺き土が弛み、密着していた漆喰が剥がれ始めて行くこともあります。
全ての熨斗瓦がずれているわけではなく、ごく一部でずれ症状が見られます。熨斗瓦は棟内部の葺き土に接着されています。
この接着力が落ちてしまっている部分で、熨斗瓦がずれていると言えます。
熨斗瓦が欠損している部分も同様で、さらに銅線が切れてしまっているからです。
平瓦の表面の多くに変色している事が解ります。いぶし瓦の表面は炭素皮膜で覆われていますが、ごくわずかの水分を吸収します。
吸収と言っても表面の炭素皮膜に水分が行き渡る程度ですが、この影響を受けて表面に変色を生じる、よくある症状で瓦は十分に機能しています。
全体を点検してみた結果、最も劣化が見られるのが面戸をはじめとする漆喰が限界に達しています。すべての漆喰を撤去して、充填しなおす必要があります。
面戸漆喰が剥がれていると、葺き土が露出している状態にあるので、雨降りのたびに葺き土が少しずつ流れ出していきます。
これが進行すると棟が沈み込み始め、最終的には崩れてしまいます。棟の積み直しには結構な費用がかかりますので、その前に漆喰の取り直しをしておきたいところです。
現状で最も望ましい瓦補修工事は、棟の積み直しと漆喰の取り直し工事です。微妙に棟が蛇行していて、葺き土の接着性能が失われているからです。
どこまで範囲を広げて補修工事を考えて行くかは、施主様の維持についての計画方針も重要で、屋根の現況と共に検討して頂きます。
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