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タイルを浮き上がらせる原因はALC特性ではなく他にもあった
更新日:2021年5月27日
マンション全体に施工されたモザイクタイルの全面積は330㎡です。
そのうち浮き上がって剥落寸前まで劣化してしまったタイルの面積は20㎡です。比率は6%に満たないものです。
この事実から考えると、ALC特性が有する欠点と水分の影響だけが、外壁タイルを剥落寸前まで浮き上がらせてしまったとは考えられません。
マンション全体には多くのタイル壁面があります。主に東面と南面はモザイクタイルで仕上げられています。
西面の支柱や外壁を構成する部分は、タイル仕上げになっています。
タイル仕上げは人目につく箇所にタイルが用いられていることが分かります。
隣接する建物がある箇所は、あえて重たくなってしまうタイル仕上げにはなっていないことが分かります。
そしてマンション本体のタイル仕上げ面は、全くタイルに浮き上がりや剥落寸前の箇所がない事が判っています。
今回外壁タイルの補修を要した箇所は、ベランダやバルコニーの外壁だけでした。それも2階と3階の壁面だけです。
なぜベランダやバルコニー外壁のタイルだけが多く浮き上がっていたのでしょうか。
建物には様々な力が加わります。建物全体が受ける風圧や、地球の自転が発端となって揺れる力、通行車両がもたらす力など、多岐にわたります。
この中で私たちが感じる主な力は地震動の力です。マンションに居なければ分かりませんが、居れば共通して感じる大きな力です。
その地震動は固有の振動周期を持っています。その固有の振動周期は、受ける物質の形状や容積、体積、質量によって、伝わり方が異なります。
大雑把な考え方に立つことをお許し頂きたいのですが、ベランダやバルコニーの外壁だけ、マンション本体から張り出して、揺れる周期が異なる可能性が高い事が判ります。
このマンションの外壁タイルの不具合を全般的に観察した時、マンション本体には異常がなく、ベランダやバルコニー外壁のタイルだけが異常をきたしています。
地震動から生じて受ける揺れエネルギーが、建物本体と張り出し部分とでは異なった結果、このような差異が生じていると考えられます。
1階のベランダ外壁だけはRC構造でもありますし、地震動によって揺れる事も少ないことから、ほぼ損傷がありませんでした。
つまるところ、地震動が発して揺れるエネルギーが建物全体を揺らし、支持物がない出っ張ったベランダやバルコニー壁面は、マンション本体よりも大きく揺れます。
外壁下地とタイルの接着剤を剥がしやすくなることが、タイルを浮き上がらせる最初の原因になっていると強く推定されます。
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